そこにいるだけでいい

不登校からの復活。シンプルな暮らし。

男の子に仮面ライダーなどの「戦隊もの」を見せたくない親と見たい子ども。どうするのが一番良いのか。

愛子には2人の子どもがいます。娘のはなちゃん(18歳)と息子のヒデ君(11歳)です。1人目のはなちゃんにはほとんどテレビを見せずに育てました。小学校にあがるまで録画してCMをカットした「とっとこハム太郎」を1日に20分見るだけでした。それで特に困ることもありませんでした。

 

2人目のヒデ君(11歳)は7年ぶりに生まれた子どもでした。だんだん愛子の子育てもいい加減(ええ加減)になっていました。ヒデ君は、はなちゃんよりはいろいろテレビ番組を見ていたと思います。でも暴力的なもの、戦いのシーンがあるもの、殺人シーンのあるもの、言葉が汚いもの、ニュース(実はこれが一番怖い)などは見せないようにしていました。そういうことが「普通のこと」と思ってしまうといけないと思っていたのです。心穏やかな優しい子に育ってほしいと思っていました。

 

幼稚園に入るまでは、それで問題はありませんでした。幼稚園に入ると、子ども向けの雑誌「てれびくん」や「テレビマガジン」を読むようになりました。雑誌の影響が大きく、ヒデくんは食い入るように「仮面ライダー」や「○○レンジャー」のページを見るようになりました。お友達から戦隊ものの話を聞いてくることもありました。 

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 知らないうちに夫がウルトラマンの動画を見せていたこともありました。夫はきっと自分が小さい時に見ていたものを男の子と共有したかったのでしょう。ヒデ君はウルトラマンにもとびつきました。

 

ヒデ君が通っていた幼稚園はドイツ製のおもちゃなどがたくさんある、当時としてはちょっとこだわりのある幼稚園でした。おかあさんも子育てにこだわりを持っている人が多かったと思います。

 

年中さんになると、ヒデ君は戦隊もののテレビ番組をすごく見たがるようになりました。愛子は相変わらず「乱暴になる」と思っていたので見せたくありません。なんとかごまかしてやりすごしていました。

 

するとある日、ヒデ君がこの絵を描いてとテレビ雑誌を持ってきました。それは女の子が縄で縛られている絵でした。何かのアニメのワンシーンだったのでしょう。愛子はとまどって女の子の顔だけ描きました。するとヒデ君はその下の縄でしばられているところを自分で描きました。それからヒデ君は縛られている女の子の絵ばかり描くようになってしまいました。いったいヒデ君はどうしてしまったのでしょうか。愛子は心配になりました。「この子変な子なのかな。」

 

そして幼稚園の担任に先生に相談しました。先生は若くてモー娘。の石川梨華ちゃんによく似たとてもかわいい先生でした。先生は「戦隊もののテレビ番組を見てもいいんじゃないですか?子ども同士で共通の話題があるのも、楽しそうですよ。」とサラッと笑顔で言ってくれました。

 

愛子はその時目の前の霧がサーッと晴れる気がしました。「そっか。子ども同士の共通の話題か。それも大事だな。」と思うことができました。

 

その日から、ヒデ君は戦隊もののテレビ番組を見てもいいことになりました。それはそれは喜びました。そして驚いたことに、あの不気味な女の子が縛られている絵をまったく描かなくなりました。愛子は思いました。「あの縛られている女の子は愛子だったのではないだろうか。」子どもというものは不思議なものです。どうしようもない感情を無意識のうちに絵に描いていたのでしょう。

 

愛子は当時「ドラえもん」ですら、「ジャイアンが乱暴だから」という理由で見せたくないと思っていました。今となっては笑い話です。

 

それからヒデ君はどうなったかというと・・・、乱暴になりました(笑)といっても「戦いごっこ」をするようになったというだけですが。愛子が心配した通りになってしまいました。でも「女の子にはやらない。」という約束は守っていました。男の子同士でやる時も次第にお互いに力を加減するようになりました。「本気でやられると痛い」ということをお互いに体で覚えたようです。幸い心配していたような大きな怪我をお友達にさせることはありませんでした。でも愛子は相手の子のお母さんに「いつもごめんね。なにかあったら言ってね。」と言うことを忘れませんでした。

 

それからヒデ君は戦隊ものの絵を何百枚描いたことでしょう。戦隊ものの人形やベルトもどんどん増えていきました。戦隊もの熱は小学校に入っても続きました。4年生ぐらいに、気がつくと終わっていました。ヒデ君の興味は「妖怪ウォッチ」にとってかわったようです。

 

正直そういうものを「嫌だ」と、かつての愛子のように思っているお母さんもいます。でも愛子はヒデ君の気持ちを優先させました。難しいところです。でも今の世の中、戦隊もの、DS、カード(ポケモン、妖怪ウォッチ、デュエマ、遊戯王)、メダル(ポケモン、妖怪ウォッチ)、Wiiなどに一切触れさせないで育てることはとても困難です。どうしてもさせたくないのならば、そういう幼稚園や学校、例えば厳格なシュタイナー教育の学校などに入れなければならないと思います。

 

愛子はそれらを全部やらせているわけではありません。DSは9歳から土日祝日に1日40分(今は50分になりました。)だけやっていいことにしました。これはお友達の中でもかなり厳しい方です。カードは遊戯王はまだやっていません。カード交換は禁止しています。(カード交換は、トラブルの原因になりやすく、カードに金銭的な価値があるため金銭トラブルと同様だと思うので。)Wiiはうちにはありません。

 

これらのことに関しては、なるべくお母さんたちともよく話すようにしています。そうしているうちに子ども同士も、「あそこの家はこういうきまり」とか「あの子はカードはやらない」など考えて遊ぶようになりました。

 

こういう問題は男の子のほうが多かったように思います。はなちゃんも「たまごっち」は持っていませんでしたしDSを買ったのは小学校6年生の時でした。でも一般的に女の子のほうがそういうものに対する執着は少なく、収集癖もないように感じます。

愛子は4人姉妹です。女の姉妹しかいなかったので、男の子のことはまったく理解できません。

ヒデ君が小さい頃は愛子はまだ子育てにいろいろこだわりを持っていました。今では、もうそのかけらもありません。いい加減な生活になってしまいました。

 

あまりキュウキュウに「~でなければならない。」ではなく、「ゆるゆる」な感じが子育てにもちょうど良いような気がします。まだまだ悩みながらの子育てです。