慌ただしい日々の中で、忘れていた「胸キュン」。久しぶりに思い出させてくれた映画でした。
ストーリーは、ベタといえばベタそのものです。「あるわけないじゃん、こんな話。」と笑い飛ばすことができないのは、高畑充希ちゃんとがんちゃんこと三代目J Soul Brothersの岩田剛典くんが素敵すぎたからです。
愛子はアラフィフですが、年甲斐もなく「いいなぁ。」と思いっきりストーリーの中に入りこんでしまいました。
それはまるで、魔法にかけられたかのようでした。
「植物図鑑」は、有川浩先生の小説が原作です。その後、漫画化もされているようです。
先に本を読んだ人は、物語への思い入れが強くなるようです。本を読んで「植物図鑑」ワールドのファンになってしまう人が多かったので、映画化へのハードルは高かったのではないでしょうか。
娘のはなちゃん(17歳)もそのひとりでした。はなちゃんの場合は、小説があまりにも素敵だったので「早く映画にならないかなぁ。」と期待して待っていたそうです。
はなちゃんは、本と映画のイメージは多少違ったようですが、目がハートマークになって帰ってきました。
最近の中高生女子は、この手の胸キュン邦画は一通り観るようです。愛子が高校生の頃は、洋画を観ることの方が多く、カッコイイイメージがありました。邦画をお金を出してまで観るなんて、という風潮があったように思います。愛子は昔から邦画も好きですが。
若い子が邦画を喜んで観るのは、日本の映画界にとってとてもいい傾向であると思います。
公式HPを見てみたら、あら監督の三木康一郎さんは愛子より年下です。子育てしている間に、時代が変わったなぁと思いました。
この映画が人の心をほっこりさせるのは、ただのベタなラブストーリーだけではなく、自然の植物と素朴なお料理が大きな力を持っているから。
愛子はこの映画を観て、おばあちゃんが庭でとったフキを煮てくれたことを思い出しました。つくしを摘んで煮たものもとてもおいしかった。よもぎを摘んでよもぎ団子を作ってくれたこともありました。
もう祖母は亡くなってしまいましたが、そういう「楽しい思い出」と「おいしかった味」は今でも覚えています。
そういえば、自分は子どもたちにそういう素敵な体験をさせてあげられていないなぁと反省しました。現に、庭のフキを食べていたとはなちゃんに話したら「おぇー、気持ち悪い。」と言われました。
農薬たっぷりのお野菜の方が、よっぽど「おぇー。」だと思いますよ。お嬢さん。
それから、「『雑草という名の草はない。すべての草には名前がある。』と昭和天皇は仰ったそうです。」というフレーズ。これは、「どうでもいい人間はいない。すべての人間には名前がある。個人として生きる意味がある。」というメーッセージのように聞こえました。
昔、土手でシロツメクサの花冠と長い長いネックレスを、姉たちと作ったことを思い出しました。そのあと、シロツメクサの絨毯の土手をゴロゴロ転がって遊んだことも。
映画を観た人がみんなこんなことをしみじみと思い出したりしたのではないでしょうか。またそういう経験のなかった人には、それこそ高畑充希ちゃんが演じるさやかのように、こんな世界があったのかと衝撃を受けたのではないでしょうか。
昔は当たり前だった「野に生えている植物を採って食べる。」ということ。それは、いつのまにかそういう「新たな世界」として確立していました。
人間は、自然の中にいると癒されます。もともと人は自然の中で自然と共存してきたのですから、当たり前ですね。
若い頃、無駄な時間が嫌いでした。でも植物をいじることは好きでした。ガーデニングや木々の手入れ。それこそ無駄な時間です。でもとっても楽しくてウキウキします。植物とたわむれることは、心の癒しになりました。
それから、この映画の良さは「素朴さ」です。公式HPのメイキング映像で、フキの筋を取るシーンのリハーサルに成功したがんちゃんと充希ちゃんが「イェーイ。」と言ってハイタッチするシーンが写っています。
それはがんちゃんと充希ちゃんの素の顔です。今の子らしい行動だと思いました。映画の中の二人は、間違ってもそんなことはしません。もっと地味で距離があります。この映画の中の素朴さが、昭和の香りを漂わせ、ほんわかした雰囲気をかもしだしていると思います。
最後に極めつけは、がんちゃんの笑った時の口角です。あれは反則です。あの笑顔を観て、ハートに矢がささらない女子はいないのではないでしょうか。いくつになっても女子は女子です。(笑)
映画が終わってエンドロールが流れても、「植物図鑑」の世界に浸りきった観客は誰一人として席を立ちませんでした。
今でも、ふわふわ夢の中を歩いている気がします。
めずらしくはなちゃんが、「観にいきなよ。」と強くすすめてきたわけがわかりました。はなちゃん、ありがとう。
「植物図鑑」は若い子向けのラブストーリーの、やっつけ仕事で作られた映画だと思っていましたが、まったく違いました。もう一度観たいとさえ思ってしまいます。
大人気により、ロングランになったそうです。
愛子は映画を先に観て、あとから原作本を読んでいます。
ちょこちょこ映画とは異なります。でも映画では描き切れなかったことがたくさん出てきて面白い。例えば、同居して洗濯物はどうしてたんだろうとか、がんちゃん演じる樹(いつき)の着替えはどうしたんだろうとか・・・。そういう細かいことがわかります。
もちろん、読みながら目の前に浮かぶのは充希ちゃんとがんちゃんなのであります。