TBSの大人気ドラマとなった「逃げるは恥だが役に立つ」(火曜夜10時)は病みつきになるドラマでした。
このドラマの魅力はたくさんあります。そのなかのひとつ、主人公みくり(新垣結衣さん)の伯母土屋百合(石田ゆり子さん)のセリフに、度々心に響くものがありました。
そんな百合の名言をまとまてみました。
土屋百合はみくりの母(森山桜)の姉でドラマの中では49歳という設定です。ゴダールジャパン株式会社という外資系の化粧品会社の広報部に勤務しています。美人で仕事もできるのですが、独身で処女です。姪のみくりをとてもかわいがっています。
第1話
みくりの両親を見てみくりに
お互いにただひとりの相手がいるっていうことは、誰からも選ばれない人生より素敵じゃない。
第3話
山梨のお寺で
年をとるとさぁ、むなしいこともいっぱいあるけど楽しいこともいっぱい覚えるんだ。
第4話
部下と居酒屋で
人を好きになるってさぁ、不安になるのよね。自分が自分じゃなくなって足元がぐらぐらしてゆだねられないうちに、どこへも行けなくなるんだわ。
第6話
みくり達に新婚旅行に行くように説得する場面。予備校の講師のパロディで。
こういうのは、行ける時に行くの。いつ行くか。今でしょ。いつかいつかと思っているうちに子供ができたとします。3年は旅行へ行けません。2人目ができたとします。さらに3年は困難です。
人生が予定通りにいくなのら、私は27歳で結婚していました。おこごとおばさんやセクハラおばさんになる運命など誰が想像したでしょうか。いいですか。思いもよらないことが起こるのが人生です。
私も若い頃よく言われた。土屋さんが俺のこと相手にするはずがない。本当の意味ではもててなかったのかもね。
第7話
みくりの誕生日プレゼントについて平匡との会話の中で
まさか何もしてないっていうことは。あるわけないか。熟年夫婦じゃないんだからね。付き合いたてみたいなもんなんだから。
熟年夫婦でも何かして欲しいです。
部下の堀内柚(山賀琴子)に
本当のことが、摩擦を起こす場合もね。
いつでも本当のことを言えばいいというわけではないのですよね。
みくりに部下の話をしている
手はかかるけど二人ともかわいいなって思っちゃった。仕事ってさぁ、人と人とのかかわりだから結局そうなっちゃうんだよね。いやがおうでも。中略
どんな仕事も相手へ感謝とリスペクト(敬意)。
第8話
会社で産休をとる同僚について部下が「ぶっちゃけ迷惑。」「土屋さんだって仕事増えるでしょう」。「むかつきませんか。」と言ったことに対して、
悪いけどもうそんな次元にない。感謝。私の分まで産んでくれてありがとう。この年になるとね、もう嫉妬なんて通り越してる。中略。だってその分働いているもの。税金納めてるもの。だからね、あななたたちもブーブー言わないの。今どき産休に理解のある会社の方がいいでしょ。それにね、福利厚生があるっていうことはまだ(会社が)安泰ってこと。
風見を車で送っている時、風見が「もしかして遠回りしてくれてます?」というと
たそがれたいかな、と思って。いいでしょこの道。今の若い子って車持たないわよね。中略 でもね、あなたが思っているより、ずっと遠くまで行けるのよ。
第9話
BAR 山で風見と
子持ちの人と結婚すれば、今からでも子供が持てるんだって新しい発見だった。
私の場合はみくり(姪っ子)がいたからね。娘がいる気分を味わえちゃったのよね。最高よ。責任取らないでひたすらかわいがるだけ。でもその代わり、深い喜びは知らないのかもしれない。
誰もがすべてのことを深く知るのって無理だと思わない?誰かが知っていることを誰かは知らなくて、そうやって世界は回っているんじゃないかしら。
本部長に「融通がきかないんだよな。土屋は。」「今だに独身なのもわかる気がします。」「それもあって必死なんだよ。」と嫌味を言われた日の夜、風見とゴダールジャパンの広告を見ながら、
与えられた価値に押しつぶされそうな女性たちが自由になる。自由だからこその美しさ。例えば私みたいなアラフィフ独身女だって社会には必要で、誰かに勇気を与えることができる。
あの人が頑張ってるなら、自分ももう少しやれるって。今ひとりでいる子や、ひとりで生きるのが怖いっていう若い女の子達に、ほらあの人がいるじゃない。結構楽しそうよ。って思えたら少しは安心できるでしょ。だからわたしはかっこよく生きなきゃって思うのよ。
第10話
世界遺産ラスコー展で洞窟壁画を見ながら
素敵ね。2万年も昔にこの絵を描いた人達の想いが今ここにあるなんて。
無理してるわけじゃないの。中略 まわりの期待は嬉しいし、まわりから期待されてるから頑張れるっていうことも本当だし、かっこよく生きたいっていうのも本心。でも、そうね。時にはいいのかもしれない。頑張らない時があっても。
第11話最終回
百合の部屋で風見に、
今までかたくなに生きてきちゃったから、今さら刹那的な恋愛とか考えられないし。
風見を好きなポジモンことポジティブモンスターとの会話の中で。
ポ「お姉さんと風見さんてどういう関係なんですか。17歳も違うのに恋愛対象ってことはないですよね。」
ゆ「年までよくご存じで。」
ポ「50にもなって若い男に色目使うなんてむなしくなりませんか?」
ゆ「訂正箇所が多すぎてどこから赤をいれたらいいものか。」
ポ「正確に言えば49歳。でもまわりから見れば同じです。アンチエイジングにお金を出す女はいるけど、老いにすすんで金を出す女はいない。」
ゆ「あなたはずいぶんと自分の若さに価値を見い出しているのね。」
ポ「お姉さんの半分の年なので。」
「私が虚しさを感じることがあるとすれば、あなたと同じように感じている女性がこの国にはたくさんいるということ。今あなたが価値がないと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ。自分がバカにしていたものに自分がなる。それって、辛いんじゃないかな。
私たちのまわりにはね、たくさんの呪いがあるの。あなたが感じているのもそのひとつ。自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい。」
でました。「呪い」の名言です。この言葉は多くの女性に絶賛されました。twitterのまとめサイトができたほどでした。
この「呪い」とは何でしょうか?いろんな意見がありましたが、愛子はこう思います。
「普通」と言われることや、固定観念。
例えば、
結婚のあり方
男女の年齢差
恋愛の性差別
帰国子女差別
結婚している方がよい
女は若い方が価値がある
35歳独身童貞は恥ずかしい
性格的なこと(みくりはこざかしいとか)
などなど。このようなことを考える時に、枠にはまった考え方をすることを百合ちゃんは「呪いをかけている」と表わしたのではないでしょうか。そしてそんな「呪い」からは逃げてしまえ。今を生きるには、もっと自由であるべきだと。
青空市で沼田と
なんだかんだ言って年齢っていう呪縛に一番縛られていたのって私なのよね。おじけづいちゃったのよ。自分の年齢に引け目を感じて付き合うよりも、友達でいた方がいいかなって。
いかがでしたか?
「逃げ恥」はパット見は、ただのラブコメディに思えます。でも実は現代の日本の社会がかかえる様々な問題や疑問を提議している社会派ドラマでもあったのです。
女性の社会進出がいまだに難しい現実。
何が正解で、何が間違いなのか。
人には人の価値観があって、それぞれの生き方がある。夫婦にも各々の夫婦のあり方がある。
百合は、かっこよく生きたいと思っています。でも時々心が揺らいだり、弱音を吐いたりしています。そんな人間らしさが多くの女性の共感を呼んだのではないでしょうか。
30代以上の独身女性の支持を得たのかなと思いましたが、うちの娘のはなちゃん(17歳)も「ポジモンをやっつけて気分がスカッとした。ゆりちゃん、かっこいい。」と言っていました。
しかし、あれは石田ゆり子さんが言っているから説得力があるのであって、まったく違う条件の人が言ったらアウトということも、もしかしたらあるかもしれません。(笑)
沼田さんが飲み屋でつぶやいていた
「みんなちがってみんないい。」(修正・金子みすゞさん)。(sumika_09さんご指摘ありがとうございます!)
生きるのが難しいこの現代社会ですが、「逃げ恥」で言いたいことはこの一言に集約されているような気がします。