不登校、いいね!
不登校児が学校へ行けない理由
息子の秀明は小さい頃から活発で、みんなの前でお笑いをやって笑わせることが大好きな明るい子供だった。それが中学1年の11月、突然学校へ行くことができなくなった。
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親の私たちにとっては青天の霹靂、「え、うちの子がなんで?」という感じであった。のちに出会った不登校児やその親御さんに聞くと、意外とそういう子が多い。
秀明は中学に入ってからは運動部に所属、学級委員に立候補し、勉強も部活も遊びも頑張ってとても楽しそうに学校生活を送っていた。
10月下旬、秀明は夜中に激しい腹痛をおこし、救急病院に行った。今思えば、これが最初のサインであった。
診断結果は、レントゲンにより「便秘」とのこと。腸いっぱいに便が詰まっていた。毎日快便だと思っていたので(本人談)、まさか便秘になっていたとは!しかし後になって思えば、当時秀明は忙しすぎて、ゆっくりトイレに座る時間もなかったのかもしれない。
しばらく病院で休むと、ケロッと元気になった。のんきな親子は、その日も学校に行くか、部活に出るかどうするかなんて話をしていた。とりあえず、その日は家に帰り1日ゆっくり休むことにした。
それからは学校へ行っても途中でお腹が痛くなることが度々あった。それでも私たちは「便秘だから。」と腸活によさそうなものを食べさせたりしてのんびりしていた。秀明の生活は相変わらずで、学校・部活・塾・習い事と忙しいままであった。
もうすぐ期末テストという頃だったか、朝にお腹が痛くなって学校へ行くことができなくなった。学校へ行ったり行かなかったり。最初は腸の調子が悪いからだと思っていた。
そのうちお腹が痛くなくても、学校へ行かない日が続くようになった。起きてはくるものの、リビングの椅子に座ったまま口をつぐんでいる。
「どうして学校に行かないの?お腹が痛いの?」
お腹が痛いわけではないという。
「学校で何かあった?」
「誰かにいじめられたの?」
「勉強がわからないの?」
矢継ぎ早の私たちの質問に、貝のように口をとざす秀明。
なぜ秀明は何も答えなかったのか。
それは、本人にも理由がわからなかったから。
もしかしたら、ちょっとからかわれたり、嫌いな先生がいたり、体調もすぐれないし、小さい理由がいろいろあって、それらが複雑に絡み合って行けなくなっていたのかもしれない。
不登校の理由は、子供によって様々だ。それこそひどいいじめにあっている子もいるかもしれない。勉強がついていけないとか。
しかし多くの子供は自分でもよく理由がわからない。わからないから、だまっていたり、布団をかぶって寝たふりをしたりする。
ただ、心と体が学校へ行くことを拒んでいる。それはとても重大な意味を示す「危険信号」であることを、その時の私たちはわかっていなかった。午後からでも、1時間でも、保健室登校でも、部活だけでも、なんとか学校に行かせようとしていた。
心と体が動けないなんて、大人なら「深刻」と思うはず。ところが子供だと「ずる休み」とか「なまけ」とか思われてしまう。
「子供が必死の思いで発する危険信号を察知して、まずはゆっくり休ませてあげてほしい。」あの頃の自分に、そう言ってあげたい。
※この物語は、事実に基づきフィクションをおりまぜています。
多くの不登校で悩むお子さんや親御さんの心の支えになればと思い、ここに息子の不登校の軌跡を記す決心をしました。
不登校に関してはまだまだ認識が広まっておらず、多くの親子が誰にも話すことができずに日々悩んでいるのが現状です。
この物語を通して、日本の教育・医学・栄養学に新しい風が吹きますよう。