朝、起きられなくて学校に行けない、という話をよく聞く。
中1の冬から不登校の秀明には幸いそういった症状はなかった。
しかし起きない子は、
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何回起こしても起きないらしい。起立性調節障害の子供は朝、起きられないという。
私も家族もそういうことが今までなかったので、なかなか共感しずらい。が、
秀明のお友達でも何人か起立性調節障害の子がいた。
「朝、起きられない病 起立性調節障害と栄養の関係」
今西康次著 (光文社)
第1章「起立性調節障害」という病
本書によると、不登校の子供の中に起立性調節障害の子はおよそ3~4割いるということだ。軽症を含めると中高生の10%以上に起立性調節障害が見られ、起立性調節障害の子供の中の30%が不登校だという。
起立性調節障害の診断
ガイドラインで示されている起立性調節障害の診断基準
以下のうち3つ以上当てはまる、あるいは当てはまるのは2つだけだが強く疑われる場合は次の診断へ進む。
①立ちくらみ、めまいを起こしやすい
②立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
③入浴時、あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
④少し動くと動悸あるいは息切れがする
⑤朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
⑥顔色が青白い
⑦食欲不振
⑧さいせん痛(へその周りの激しい痛み)を時々訴える
⑨倦怠あるいは疲れやすい
⑩頭痛
⑪乗り物に酔いやすい
その後は、基礎疾患の確認、新起立試験に基づき血圧と心拍数を計測するなど6項目に渡って診察を進めていく。(詳しくは日本小児心身医学会が作成した「小児起立性調節障害診断・治療のガイドライン2015」を参照)
現代の医学は栄養学には重きをおいておらず、薬物治療が主流となっている。
起立性調節障害の場合の薬物療法では、血圧を上げる薬、頻脈を抑える薬などになる。しかし筆者は、それでは根本の治療にならないと言う。
第2章「起立性調節障害」の栄養療法
起立性調節障害の患者を詳しく調べると栄養が足りていない、すなわち「質型栄養失調」になっている。
成長期は人生の中で最も多くの栄養を必要とする。初潮前やスポーツをしている場合は特に栄養が必要だ。
例えば運動部に入っている女子中学生のの場合、1日に2700キロカロリーが必要になる。
また現在家庭で多用される冷凍食品や惣菜、加工食品は作られる過程で多くのビタミンやミネラルが抜けてしまう。
コンビニやファストフードなどでの買い食いも糖質過多になりがちで、タンパク質、ビタミン、ミネラルは不足しがちである。
先日ご紹介した藤川徳美先生も同様の考えだ。
補うべき栄養は
タンパク質
ビタミン
ミネラル
脂質(オメガ3)
だ。
量や種類、サプリメントの種類などについては本書に詳しく書かれているので参照して欲しい。
どうしてもプロテインが飲めない場合はプロテインバーがおすすめとのことだ。
第3章 栄養療法で起立性調節障害が改善した症例
感想とまとめ
秀明は起立性調節障害と診断されたことはないが、夜なかなか寝つけなかったり、昼夜逆転したり、立ちくらみがしたり、顔色が青白かったり、似ている症状がいくつか見られた。
別の病院へ行ったら、あるいはもう少し後で病院へ行っていたら、もしかしたら起立性調節障害と診断されたかもしれない。
起立性調節障害は辛いと思うが、病名をきちんと診断されるのは欠席することを認めてもらえるような気がして、正直うらやましいと思ってしまうこともあった。
本書は、起立性調節障害の栄養療法について書かれた良書だが、「質的栄養失調」について大変わかりやすく書かれており、起立性調節障害の人以外の、不登校、成長期の子供を持つ親、しいてはあらゆる年齢のすべての人にとって必要な情報で、ぜひ読んでいただきたいと思う。
wakakusa.sokoniirudakedeii.com
※多くの不登校で悩むお子さんや親御さんの心の支えになればと思い、ここに息子の不登校の軌跡を記す決心をしました。
不登校に関してはまだまだ認識が広まっておらず、多くの親子が誰にも話すことができずに日々悩んでいるのが現状です。
この物語を通して、日本の教育・医学・栄養学に新しい風が吹きますよう。